グリーン成長戦略における天然ガスの役割とは

こんばんは。

今日は日本社会の今後にとって非常に重要なグリーン成長戦略についてまとめていきます。

ただ、グリーン成長戦略の範囲が広すぎるのでその中でも天然ガスの果たす役割についてまとめていきます。

 

キーワード:グリーン成長戦略/メタネーション/カーボンニュートラルLNG/ガスコージェネレーション

○グリーン成長戦略とは

グリーン成長戦略とは一言で言えば「経済と環境の好循環」を作っていく産業政策のこと。

これまでコストだと考えられてきた温暖化対策を、産業構造や社会経済の変革をもたらし大きな成長につながる投資だと捉えることがポイントです。確かに気候変動、気候危機が叫ばれるようになり環境への投資が活発化していますね。

 

カーボンニュートラル実現のためには温室効果ガス排出の8割以上を占めるエネルギー分野の取り組みが重要になります。そのためエネルギー政策及びエネルギー需給の絵姿(3E+S)を示すことが必要です。

 

「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」

https://www.meti.go.jp/policy/energy_environment/global_warming/ggs/pdf/green_honbun.pdf

 

天然ガスの役割

化石燃料の中で最もCO2排出量の少ない天然ガスは2050年カーボンニュートラル実現までの移行期(トランジション期)において低炭素化に貢献できます。しかしながらCO2を排出しないわけではないためCN実現後は天然ガスの供給に使っている都市ガス導管などの既存インフラを合成メタンの供給に活用することになるでしょう。

 

ガス導管は高いレジリエンス(強靭性)を有しており、事故件数は減少傾向にあり、高い保安レベルを維持しています。災害時における供給断絶リスクも低いです。加えて最近では、遠隔での検針や開閉栓等を実現するスマートメーターの検討やデジタル技術を活用した新技術により保安・レジリエンス向上が期待できます。

 

そしてガスコージェネレーションシステム(CGS)を活用すれば熱と電気の両方を利用することができます。

ガスコージェネレーションシステム(CGS:Co-Generation System)は、クリーンな都市ガスを燃料として、必要な場所で電気をつくり、同時に発生する熱を冷房・暖房・給湯・蒸気などに利用できるシステムです。
東日本大震災以降、エネルギー供給のあり方が見直され、防災性の観点からもCGS等の分散型電源の役割が重視されています。そのため、国や自治体もCGS普及促進のためのさまざまな優遇策を打ち出しています。

この説明だけだとわかりにくいのでCGSについてはまた後日。

ガスコージェネレーションシステムとは|東京ガス

 

また需要サイドの脱炭素化推進のため、クレジットでオフセットされたLNG(液化天然ガス)の活用も期待されている。この取り組みは大手ガス事業者を中心に進められている。

 

例えば東京ガス(株)と丸の内熱供給(株)は今年11月から、丸の内熱供給が運営する全ての地域冷暖房プラントで使用する都市ガスの全量をカーボンニュートラル都市ガス(CN都市ガス)に切り替えることに合意しました。

 

CN都市ガスは、天然ガスの採掘から燃焼に至るまでの工程で発生する温室効果ガスを、CO2クレジットで相殺(カーボン・オフセット)し、燃焼しても地球規模ではCO2が発生しないとみなすLNG(CNL)を活用したものです。東京ガスが2019年に輸入を開始し、CN都市ガスとして日本で初めてお客さまに供給を開始しました。なお、対象となるCO2クレジットは、信頼性の高い検証機関が世界各地の環境保全プロジェクトにおけるCO2削減効果をCO2クレジットとして認証したものです。

東京ガス : 国内最大規模となるカーボンニュートラル都市ガス導入

 

カーボンニュートラルLNG(CNL)の導入例は他にもJR東日本イオンモールヤクルト本社三菱地所ホテルニューオータニ(東京)など多岐に亘ります。近年では先ほど述べたとおり、気候変動対策をコストではなく投資だと捉えることが主流となってきており、CNLを導入することはESG経営を重視する投資家とのコミュニケーションにつながります。これからどんどん需要は拡大していくでしょう。

 

カーボンニュートラルLNG ー未来へ向かうガスー